性同一性障害は英語のGender Identity Disorderの訳語でG.I.D.と省略して表記される場合があります。意味は生物学的な概念として男女どちらかの形状に属する体をもっているにもかかわらず、自分が男性であるのか、女性であるのかという性に関する自己の認識が、出生時に判別された外性器やこれに由来する身体の性別と異なる状態であることを言います。つまり自分で認識している性別と体が備えている性別が一致していない状態です。
症状の重さはそれぞれに異なります。自己の性別に対しての違和感が重い場合には、自己の外性器に対する違和感・嫌悪感がとても強いため、少しでも早く自己の身体的な性別を自己の認識する性別に合致させたい、近づけたいと切望されて当院に相談に来られる方も少なからずいらっしゃいます。
そのような深刻な悩みを抱えていらっしゃる性同一性障害の方が、高額な手術代が障壁となり外科的処置を断念することを少しでも減らしたいと考え、FTM(生物学的性別が女性、性の自己意識が男性)の方に対する乳腺除去手術やMTF(生物学的性別が男性、性の自己意識が女性)の方に対する睾丸除去手術については、可能な限り外科的処置を受けていただきやすい価格に設定しております。
乳房の切除には、乳腺の周囲を脂肪吸引し、加えて乳腺を切除する必要があります。乳腺周囲の脂肪組織は脇の部位から細いカニューレという管を挿入して脂肪を吸引し、乳腺は乳輪下半分を切開して摘出します。
乳房が大きい方や乳房が垂れ下がっている方など約30%の方は、皮膚に弛みが生じる場合があります。この場合は、術後の経過を観察し血液循環が改善したところで皮膚の切除を検討します。
手術時間は2時間から4時間と元々のバストの状態によって異なります。麻酔は胸部硬膜外麻酔(背中の上方から針を刺して麻酔液を注入)と点滴による静脈麻酔との併用です。
術後は乳房の手術部位にドレーンという管を挿入し、内部の溜まった血液や体液を排出します。このドレーンという管は1日~数日間は挿入したままになります。翌日診察に来ていただき問題がないことを確認してドレーンを抜去しますが、脂肪吸引も併用している場合はさらに数日ドレーンを留置します。
数ヶ月経っても皮膚に弛みが多い場合や乳頭の大きさが気になる場合は乳房皮膚切除や乳頭縮小術を検討する必要があります。
陰嚢内の左右に存在する睾丸を摘出するには、精管と動静脈を切り離し睾丸導帯を切開します。縫合には溶ける糸を使用するので抜糸の必要はありません。
睾丸摘出術後、陰茎切断や外陰部形成術を希望される場合は性転換手術を検討する必要があります。ただ、膣の形成を希望される場合は入院治療や長期の経過処置が必要であるため現在、造膣術は行っていません。
価格は全て税別となります。
乳房切除 | 400,000円 |
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乳頭縮小 | 200,000円 |
乳房皮膚切除 | 200,000円 |
睾丸摘出 | 200,000円 |
陰茎陰嚢切除 | 400,000円 |
女性ホルモン注射(プロギノンデポー10mg) | 2,000円 |
男性ホルモン注射(エナルモンデポー250mg) | 2,000円 |
女性ホルモン内服(プレマリン0.625mg 140錠) | 4,000円 |
男性ホルモン内服(エナルモン25mg 30錠) | 4,000円 |
プラセンタ注射(胎盤エキス)1A | 2,000円 |